鍛造チタン万年筆「一閃 Ref.I」— Batch #001
限定18本。年間製作本数の秘密
京都の金属加工職人・田中工房で年間わずか18本のみ製作される「一閃 Ref.I」。この制限は単なるマーケティング戦略ではなく、製作プロセスそのものから生まれる必然である。純チタンの素材を0.1mm単位で削り出し、その後3ヶ月間の手研ぎプロセスを経て、ようやく一本の筆が完成する。18本という数字は、職人の年間稼働日数を逆算した結果の数字である。書くという行為が変わる道具とは、このような執念の積み重ねから生まれる。
0.1mm単位の削り出し技術
チタンは異なる硬度を持つため、NC旋盤での加工後、職人の手による調整が必須となる。通常の万年筆では機械任せにされるこの工程を、一閃では完全に職人の手で行う。削り屑一つの違いが書き味に影響することを知る職人だからこそ、妥協を許さない。毎日同じ作業をするなかで、季節の湿度変化さえも軸の寸法に反映させる感覚。それが0.1mmの精度を支える。
手研ぎイリジウムペン先の3ヶ月
ペン先はフランスから仕入れた14K金イリジウムを使用。しかし到着した時点では「書き物の道具」ではなく、「金属の塊」に過ぎない。ここから3ヶ月の手研ぎが始まる。研磨棒、砥石、極細のサンドペーパーを駆使しながら、職人の手は毎日8時間以上をペン先に向き合う。目指すのは「どの角度からでも同じ圧力で線が引ける状態」。この状態に至るまで、数千回の小さな調整が必要となる。
「書く」という行為の再発見
デジタル全盛の時代、万年筆は「過去の遺物」と見なされることが多い。しかし一閃 Ref.Iを手にしたとき、その認識が変わる。軸に伝わるわずかな温度感、ペン先の摩擦音、紙との接触感。これらすべてが思考のプロセスの一部になる。字を書くという行為が、単なる情報記録ではなく、身体と脳が一体となった創造的行為に変わるのだ。職人が3ヶ月かけて作り上げたペン先だからこそ、その感度は他の追随を許さない。
Batch #001の価値
2024年の最初のバッチとなる「Batch #001」は、さらに特別な意味を持つ。初回ロットであるため、職人の試行錯誤が最も多く反映されている。完成度という意味では後続のバッチが上回るかもしれない。しかしその過程こそが価値なのである。職人が何を考え、何を調整し、どのように完成へ至ったのか。その痕跡がすべて刻まれている。コレクターズアイテムではなく、使い手のための唯一無二の道具。それが一閃 Ref.I Batch #001である。
職人の言葉
「年間18本というのは、一本一本に全力を注ぎ込むための必然。妥協のない道具を作ることが、使い手の思考を変える。それが職人の責任だと思っています。」
限定18本の次のバッチは、2024年秋。
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